パイプライン管理とは?営業力強化・営業効率化に有効なプロセス管理を解説【2024年最新版】
パイプライン管理とはなにか?組織の営業力を強化するため、業務標準化・効率化を進めているが、うまくいっていないという営業マネージャーなら知りたいはず。そんな方に向け、概要・目的から管理のメリット、手順・ステップ、注意点・管理ポイントまで、営業プロセスのパイプライン管理を網羅的に解説していきます。
なお、パイプライン管理を支援してくれる営業支援会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
【無料】営業支援会社を紹介してもらう営業プロセスを可視化するパイプライン管理とは
パイプライン管理とは、営業プロセスの各フェーズを可視化することでボトルネックになっている課題を発見し、分析・改善していく営業マネジメント手法のことです。
パイプライン(Pipeline)本来の意味は、石油や天然ガスを伝送するパイプ設備。初回商談から受注までの営業プロセスを、始点から終点まで石油・天然ガスを伝送するパイプラインに見立てたところから「パイプライン管理」と呼ばれています。
業種やビジネスモデルによって異なりますが、営業プロセスを反映したパイプラインの一例を紹介しておきましょう。
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パイプライン管理の目的
営業プロセスをパイプライン管理する目的は、受注までの流れを妨げるボトルネック(パイプの詰まり)を発見すること。そして、問題を分析・改善することで営業効率を高め、ビジネスを成長させていくことです。
たとえば、どんなに優秀な営業マンでも、商談化した案件すべてを受注につなげることはできません。営業プロセスのフェーズが進むごとに成功率は下がっていくことが一般的です。
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しかし、同じ商材を扱っているにもかかわらず、ボトルネックになっているフェーズがあることで、最終的な受注率が下がってしまう営業マンも存在します。
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営業プロセスをパイプライン管理しておけば、こうしたボトルネックを発見・改善し、営業部門全体の受注率を底上げ可能です。
パイプラインとファネル
ここまでの解説で、パイプラインとファネル(マーケティングファネル)の類似性に気が付いた方も多いでしょう。ファネル(Funnel)とは「漏斗(ろうと・じょうご)」の意味を持つ英単語。自社商材を「認知」したユーザーが実際に「購入」するまでに、対象ユーザーは絞り込まれていくという概念です。
画像出典:SATORI株式会社
ただし、パイプラインが「商談化した見込み顧客(リード)を顧客化する」ための営業プロセスであるのに対し、ファネルは「ユーザーが購入にいたるまで」のプロセス。「認知」「興味・関心」「比較・検討」というファネルのプロセスは、マーケティング / インサイドセールスの領域です。
リード獲得プロセスもパイプラインで管理可能
一方、パイプラインはマーケティング領域にも適用できる柔軟性を持つことも特徴。具体的には営業パイプラインの前に「リード獲得」「アポイント獲得」など、インサイドセールス領域のフェーズを追加・管理できます。
営業プロセスの大前提となる「リード獲得」「商談化」プロセスを改善し、インサイドセールスを強化するのにもパイプライン管理が役立ちます。
【無料】営業支援会社を紹介してもらう営業プロセスをパイプライン管理するメリット
パイプライン管理は、営業の効率化・ビジネスの成長に非常に有効ですが、もう少し具体的なメリットを知りたいという方は多いはず。以下から、営業プロセスをパイプライン管理する主なメリットを紹介していきます。
組織・個人の営業課題を特定して改善
パイプライン管理は、営業組織、チーム、個人、個別案件のデータを分析し、問題の発生しているボトルネックを発見・改善できるメリットがあります。個々の営業マンにフォーカスするだけでなく、組織・チームとしての問題を明らかにすることで、それぞれのパターンに適した改善方法を見つけられるでしょう。
ただし、さまざまな角度から営業プロセスのボトルネックを発見するには、データの一元管理が前提。パイプライン管理の対象となるすべての営業マンは、一定の基準にしたがって正確にデータ入力する必要もあります。
業務の標準化 / 営業力の強化
パイプライン管理は、ボトルネックだけではなく組織・個人の優位性を発見するのにも役立ちます。つまり、発見した優位性を営業プロセスに反映する、優れた営業マンのノウハウを分析・フィードバックすることで、業務の標準化 / 営業力の強化を実現できます。
個々の営業マンにとっては、改善点が明確になる、ノウハウを共有できるメリットがあり、それぞれの営業スキル向上も期待できるでしょう。
正確性の高い売上予測
パイプライン管理によって営業チーム全員の案件進捗を可視化できるため、正確性の高い売上予測を可能にするメリットが得られます。
パイプライン管理なら、一定の基準にしたがって入力されたデータで進捗を判断するため、個人の主観に左右されることなく売上を見通せるからです。正確性の高い売上予測が可能になれば、予実管理もやりやすくなります。
フォーキャスト管理に有効
予実管理に役立てられるパイプライン管理は、営業マネージャーにとって大事な仕事である「フォーキャスト管理」にも有効です。フォーキャスト管理とは、「業績目標管理」と呼ばれる予実管理方法の1つ。名称通り、業績目標を確実にクリアするため、目標と着地予測とのギャップを管理し、対策の立案・実行に役立てていくマネジメント手法です。
効果的にフォーキャスト管理していくためには、着地予定をより正確に予測する根拠となる受注確度。受注確度を含む案件進捗を可視化できるパイプライン管理が、フォーキャスト管理に有効な理由です。
エンタープライズ営業に必須
同時進行中の複数案件を可視化できるパイプライン管理は、エンタープライズ営業を推進していくために欠かせないマネジメント手法です。
エンタープライズ営業とは、LTV(顧客生涯価値)最大化を見込める特定のアカウント(企業)をターゲットに定め、集中的にアプローチしていく営業戦略のこと。1つの部署へのコンタクトを足掛かりに、他部署 / 支社 / 関連会社へ水平・垂直展開していきます。
エンタープライズ営業を成功させるには、関連するすべての案件の進捗を管理し、遅れの生じている案件に適切に対処していくことが重要。パイプライン管理がエンタープライズ営業に欠かせない理由です。
エンタープライズ営業については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:エンタープライズ営業とは?概要・特徴・営業のステップ・成功のポイントを解説!
【無料】営業支援会社を紹介してもらうパイプライン管理の手順・ステップ
概要、管理のメリットを把握できたところで、パイプライン管理に取り組むための手順・ステップを解説していきましょう。
営業プロセスをフェーズに細分化
パイプライン管理に取り組む最初のステップは、営業プロセスをフェーズへと細分化することです。
ただし、ビジネスモデル、ターゲットの違いに応じて営業プロセスは異なるため、細分化する項目も企業によって異なります。本記事では6つのフェーズに細分化したパイプライン例を紹介していますが、項目を自社に最適化させることが重要。細分化したフェーズが取引先の決裁プロセスと剥離していないかを意識することも必要です。
細分化したフェーズを定義
細分化した各フェーズを定義付けます。ここでいう定義付けとは「どのような状態ならフェーズをクリアしたといえるのか」を、細分化した各フェーズごとに定義するということ。たとえば、提案フェーズを「顧客課題を把握し、キーマンに解決策を提案している」と定義するなどです。
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顧客課題を把握し、 キーマンに解決策を 提案している |
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次のフェーズに移行する条件を設定
定義付けした各フェーズを定量的に判断し、次のフェーズへ移行するための条件を設定します。たとえば、提案フェーズの定義を満たす条件として「顧客課題を把握」「競合他社の存在を把握」「予算を把握」「解決策をキーマンへ提案」「決裁者を特定」を設定するなど。「BANT条件」などに照らし合わせながら、各フェーズのクリア条件を設定します。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(必要性)
- Timeline(導入時期)
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顧客課題を把握し、 キーマンに解決策を 提案している |
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・課題を把握 ・競合他社を把握 ・予算を把握 ・導入時期を把握 ・決裁者を特定 ・キーマンへ解決策を提案 |
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現状を判定してボトルネックを見つける
フェーズごとに定義付け / クリア条件の設定されたパイプラインに案件を当てはめ、条件にあわせて進捗を数値化します。過去の案件も含め、現在進行中の案件を時系列に沿って分析し、ボトルネックとなっている問題を見つけましょう。
仮説を立てて改善策を実行
パイプラインにボトルネックが発生している理由はなにか?仮説を立て、それをもとに改善策を立案 / 実行します。
たとえば、見積もり以降のクロージングで失注する案件が多い場合「相手先の決裁プロセスを把握していないことが理由」という仮説を立てる。そのため「関連部署の決裁者を特定し、それぞれにアプローチをかける」改善策を立案し、実行していくイメージです。
営業力強化に向けたパイプライン管理のポイント
営業プロセスに潜む課題を可視化するパイプライン管理は、改善活動を通じ、営業力強化をはじめとしたさまざまなメリットの得られるマネジメント手法です。ただし、パイプライン管理の効果を最大化するには、留意しておくべきいくつかの注意点があります。以下から簡単に解説していきま
しょう。
CRM / SFAを活用した効率的な管理
効果的に営業プロセスをパイプライン管理するには、CRM / SFAを活用した効率的なデータ管理が欠かせません。なぜなら、パイプライン管理にはリアルタイム性が求められるから。たとえば、フォーキャスト管理やエンタープライズ営業。CRM / SFAでパイプライン管理することによって、問題を素早く発見して迅速に対応できます。
エクセルでパイプラインを管理することも可能ではありますが、ファイルが点在しがち、最新版がわからないなど、データ管理が複雑な上、正確性も担保できません。なによりもリアルタイム性に欠けるため、エクセルでのパイプライン管理はおすすめできません。
共通認識を持つ組織体制構築
CRM / SFAの運用ポイントとも重なりますが、パイプライン管理を効果的なものにするには「正確なデータ入力」が大前提。細分化された営業プロセス、および各フェーズの定義 / 達成条件に関する認識を共有し、組織全体で活用・管理していく体制構築が必須です。
そのために、営業マネージャーが果たすべき役割は重要。パイプライン管理の目的、有効性を啓蒙するだけでなく、活用促進、データ分析、仮説 / 改善策立案・実施指示など、やるべきことは少なくありません。
データ入力の負担を軽減
上述したように、効果的なパイプライン管理の前提は正確なデータ入力。しかし、あまりにも入力項目が多いと、現場スタッフの活用を促進できません。詳細データを収集するためにも、ある程度の項目数は必要ですが、負担を軽減する工夫をすることも重要です。
たとえば、各フェーズの達成条件を選択式にする、テキスト入力が必要な項目を減らすなどが考えられるでしょう。
【まとめ】営業プロセスのパイプライン管理を紹介しました
パイプライン管理とはなにか?自社営業部門でも取り組むべきなのか?知りたい営業マネージャーの方に向け、概要・目的からメリット、手順・ステップ、注意点・管理ポイントまで、営業プロセスのパイプライン管理を網羅的に解説してきました。
パイプライン管理は、あらゆる営業組織が取り組むべきマネジメント手法。なぜなら、どのような組織であっても「営業プロセス」は存在し、常に改善の余地があるからです。まだ取り組みを開始していないなら、組織の営業力を底上げするためにも、パイプライン管理の導入をおすすめします。
なお、パイプライン管理を支援してくれる営業支援会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
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