営業戦略立案に役立つ13のフレームワーク|活用のメリット・応用の注意点も解説【2024年最新版】
「成果につながる精度の高い営業戦略を策定したいが、どうしたらいいのかわからない」
そんな悩みを持つ営業マネージャーの方にはフレームワークの活用がおすすめ。しかし、フレームワークには詳しくないという方も少なくないはず。
- 営業戦略立案に役立つフレームワークを知りたい
- そもそもフレームワークとは?営業戦略立案に活用するメリットを知りたい
- フレームワークを営業戦略に応用する際に注意すべきことは?
そこで本記事では、概要・活用のメリットとともに、営業戦略策定に役立つフレームワークを厳選して紹介!フレームワークを営業戦略に応用する際の注意点も解説していきます。
なお、営業代行会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
【無料】営業代行会社を紹介してもらうフレームワークとはなにか
フレームワークとは、営業戦略 / 業務改善 / マーケティング戦略など、ビジネス課題の解決・分析・意思決定に役立つ考え方・思考の枠組み(Framework)のこと。アプリケーション開発の土台となるソフトウェアフレームワークと区別するため、「ビジネスフレームワーク」と呼ばれることもあります。
ビジネスを遂行するにあたって必要とする考え方、発想法などをテンプレートとして体系的にまとめたものがフレームワークといえます。
営業戦略と営業戦術の違い
営業戦略とアクションプラン(営業戦術)の違いについても解説しておきましょう。
そもそも営業戦略は、営業計画の策定に必要な要素の1つであり、「売上 / 利益などの営業目標を達成するための方法」を意味します。
一方の営業戦術は、「営業戦略をベースにした、具体的なアクションプラン(行動計画)」のことです。
たとえば「月10件の新規顧客獲得」という営業戦略を実行するために、「テレアポで月50件のアポイントメントを獲得する」という営業戦術に落とし込むイメージです。
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営業戦略立案にフレームワークを活用するメリット
さまざまなビジネス課題の解決に有効なフレームワークですが、営業戦略立案にも有効。
メリットとして挙げられるのは、大きく「効率的に営業戦略を立案できる」「課題を発見しやすい」の2つです。
複合的な要因が成果に影響する営業戦略には、絶対的な正解というものがありません。漫然と考えているだけでは、方向性の定まらない営業戦略になってしまう可能性もあります。
一方、事実をテンプレートに当てはめていくようにフレームワークを活用すれば、情報・思考が整理され、見えなかった課題も明確になります。課題を解決するための対策にフォーカスできれば、効率的に営業戦略を立案できるのは当然です。
【無料】営業代行会社を紹介してもらう営業戦略の立案ステップとフレームワークの関係
ただし、営業戦略に多種多様な要因が関連してくるのと同じように、フレームワークにも分析方法・思考法の異なる多種多様なものが存在します。
以下で示す営業戦略立案の7ステップにあわせ、適切なフレームワークを活用することが重要です。
- マーケットリサーチ
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- 営業戦略立案
- アクションプラン(営業戦術)立案
- 戦略改善
営業戦略に有効なフレームワーク:マーケットリサーチ
それでは、営業戦略の立案ステップごとに役立つ、適切なフレームワークを紹介していきましょう。まずは、自社商材を「だれ」に提供するのかを特定するため、市場全体を分析する「マーケットリサーチ」のステップです。
1. 3C分析
3C分析は、3つのC「市場環境や顧客のニーズ(Customers)」「自社の事業環境(Corporation)」「競合他社の環境(Competitors)」の状況を整理し、対象となるマーケットの全体像を把握するフレームワークです。
画像出典:LUCIDITY
3C分析では、それぞれのCに関する事実を集めることに徹します。
具体的には以下の通り。
Customers |
市場規模・成長性、顧客のニーズ・購買行動など |
Corporation |
既存事業・商材の現場、自社の強み・弱み、リソース、資本力など |
Competitors |
競合各社の現状・市場シェア・特徴・業界におけるポジション、新規参入など |
2.PEST分析
PEST分析は、マーケットを取り巻くマクロ環境の変化が、営業戦略の対象となる市場へどのような影響を及ぼす可能性があるのかを把握するフレームワーク。PESTは「Political(政治)」「Economic(経済)」「Social(社会)」「Technological(技術)」の頭文字を取ったものです。
画像出典:the brooks group
PEST分析では、おおむね3〜5年後程度の中期的マクロ環境を予測することがポイント。
たとえば、IT業界であれば、3〜5年後の技術トレンドや経済状況はどうか?ということが、サービスの開発やマーケティング / 営業活動に大きく影響してくるはず。
将来のマクロ環境の仮説を立て、そこに向かって現在取り組むべき営業戦略を構築していくためのフレームワークです。
3. SWOT分析
SWOT分析は、3C分析で収集した市場環境の事実、PEST分析で収集したマクロ環境の仮説を分析し、重点的に投資すべき営業戦略目標を定めるフレームワーク。SWOTは「Strengths(自社の強み)」「Weaknesses(自社の弱み)」「Opportunities(市場の機会)」「Threat(競合の脅威)」の頭文字をとったものです。
画像出典:Wikipedia
上図のように、縦軸の「Helpful(ポジティブ要因)」「Harmful(ネガティブ要因)」
および、横軸の「Internal(内部要因)」「External(外部要因)」でマトリクスを作り、SWOTの要因それぞれをプロットしていくことで自社の勝機がどこにあるのかを見極めます。
営業戦略に有効なフレームワーク:セグメンテーション / ターゲティング / ポジショニング
マーケットの全体像を把握した後のステップは、市場を細分化(セグメンテーション)して狙うべき市場を特定(ターゲティング)すること。そして、特定した市場のペルソナにどのような価値を提供するのか?自社の立ち位置(ポジショニング)を明確にすることです。
このステップで役立つフレームワークを以下から紹介していきましょう。
4. STP分析
「STP分析」は、細分化した市場のどこをターゲットにするか、自社商材がどのような価値を提供できるかを分析するフレームワーク。3C分析 / PEST分析 / SWOT分析で明らかにしたマーケットの全体像、自社の営業戦略目標をもとに分析を行います。
STPは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Tageting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字をとったものです。
画像出典:Strategic Management
STP分析では、あくまでも顧客の視点で考えることが重要。たとえばポジショニングを考える際に、自社商材の性能がどんなに優れていても、顧客が求めていないのでは「価値」を提供できません。
5. ペルソナ分析
営業戦略策定ステップの1つである「セグメンテーション」「ターゲティング」は、狙うべき個人を特定するのではなく、狙うべき「市場」を特定するものです。一方、営業戦術を実行する際には、特定の人物像である「ペルソナ」の設定が不可欠。このペルソナを設定する手順をテンプレート化したものが「ペルソナ分析」です。
手順 |
概要 |
情報収集 |
アンケート、Webサイト、インタビューなどで想定する ターゲットの情報を収集 |
分析・グルーピング |
収集したデータを、年齢・性別・居住地・職業などで分類 |
仮説を立ててペルソナを設定 |
データの共通項をもとに仮説を立て、ペルソナを設定 |
ターゲットを代表する特定の人物像であるペルソナを設定するには、基本情報以外の趣味・嗜好、行動パターンなども設定する必要があります。
6. ポジショニングマップ
「ポジショニングマップ」は、市場における自社の立ち位置(ポジショニング)を、顧客の立場で可視化するのに役立てるフレームワーク。
顧客が「購入を決定する要因(KBF)」を縦横の評価軸に設定し、自社の立ち位置を競合他社とともにグラフにプロットしていきます。
画像出典:Medium
ポジショニングマップでは、評価軸にどのような「KBF」を設定するかがポイントです。
顧客がもっとも重視するKBFを2つ設定することで、競合他社に対するポジティブ面、ネガティブ面が把握可能。次のステップである営業戦略立案に役立てられます。
営業戦略に有効なフレームワーク:戦略立案
狙うべき市場の特定、市場における自社の立ち位置を把握できた後のステップは、ターゲットに「どのような方法で提供するのか?」を策定する、営業戦略の立案です。
以下から、営業戦略立案ステップで役立つフレームワークを紹介していきましょう。
7. 4P分析
「4P分析」は、提供する企業側から見た4つの視点で、自社商品・サービスがどのような特徴を持つのかを明らかにするフレームワーク。4Pは「Product(商材)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の頭文字をとったものです。
8. 4C分析
「4C分析」は、4P分析とは逆に、利用する顧客側からみた4つの視点で、自社商品・サービスがどのような価値を持つのかを把握するためのフレームワーク。
4Cは以下4つの頭文字をとったものです。
- Customer Value(顧客にとっての価値)
- Cost(顧客にとっての経費)
- Convenience(顧客にとっての利便性)
- Communication(顧客に対するコミュニケーション)
4P / 4Cフレームワークは、個別に分析される場合もありますが、それぞれを対比させ、自社と顧客のギャップを埋めるマーケティング / 営業戦略に利用される場合が一般的です。
画像出典:SPENCER COOPER
4P |
4C |
||
Product |
どんな商材を 提供するのか? |
Customer Value |
顧客はどんな価値・メリットを 得られるのか? |
Price |
販売価格はいくらか? |
Cost |
顧客が支払うコスト、 入手までの時間は? |
Place |
どんな流通網で 届けるのか? |
Convenience |
顧客が簡単に入手できるのか? どこで購入するのか? |
Promotion |
販売促進の方法は? |
Communication |
顧客の声は届いているのか? |
9. ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルの構造を整理して設計図の形に落とし込むフレームワーク。マーケットリサーチから4C / 4P分析までで明らかになった情報をもとにします。
画像出典:VAUGHAN BRODERICK
ビジネスモデルキャンバスは9つの要素で構成されており、これまでに分析してきた情報を当てはめ、ビジネスの構造を可視化することで優位性や課題を発見しやすくします。
ビジネスモデルキャンバスの9つの要素は以下の通り。
- Key Partner(戦略的パートナー)
- Key Activities(主要な活動)
- Key Resource(主な経営資源)
- Value Propositions(提案する価値)
- Customer Relationships(顧客との関係性)
- Channels(販売・流通網)
- Customer Segments(顧客のセグメント)
- Cost Structures(コスト構造)
- Revenue Streams(収益の流れ)
営業戦略に有効なフレームワーク:アクションプラン / 戦略改善
フレームワークを活用して立案した営業戦略は、実行に移して成果をモニタリングし、生じた課題に対処する仮説を立てて営業戦略に反映 / 改善していかなければなりません。
つまり、営業戦略策定後のステップは、アクションプラン(営業戦術)の策定および、戦術実行後の改善です。
以下から、営業戦術策定ステップ、改善ステップで役立つフレームワークを紹介していきましょう。
10. ビジネスロードマップ
テンプレートとしてのフレームワークではありませんが、営業戦略を具体的なアクションプラン(営業戦術)にブレイクダウンする際に有効なのが「ビジネスロードマップ」です。
営業戦略で定めた目標(KGI)から中間目標(KPI)を設定し、担当する各個人のタスクを時系列に整理したビジネスの設計図です。
画像出典:roadmunk
11. ロジックツリー
「ロジックツリー」は、問題をツリー状に分解しながら深掘りしていくことで、問題の原因や解決策を論理的(ロジカル)に解決していく思考法、フレームワークです。
営業戦略 / 戦術がうまくいかない原因を探る、解決策を思考するなど、戦略改善のステップに有効。営業戦略に限らない「あらゆる問題の原因究明・解決」に役立つフレームワークです。
12. バリューチェーン分析
「バリューチェーン分析」は、自社および競合の事業が、どの工程でバリュー(付加価値)を生み出しているかを分析し、強みと弱みを知ることで改善のヒントを得るフレームワーク。自社 / 競合の事業を「主活動」「支援活動」に分類し、それぞれのプロセスで効率化や差別化のポイントを探っていきます。
主活動とは、「商品・サービスが顧客に届くまでの流れ、それに直接関連する活動」のこと。支援活動とは、「主活動を支える活動」のことを意味します。自社 / 競合のバリューチェーンおよび、それぞれにかかるコストを把握することで強み / 弱みを分析する流れです。
それぞれの活動の具体例は以下の通り。
主活動 |
商品企画、製造、仕入、物流、マーケティング、販売、営業、アフターサービス など |
支援活動 |
技術開発、調達、人事、財務、会計など |
13. VRIO分析
「VRIO分析」は、バリューチェーン分析で抽出した自社経営資源(リソース)の競争優位性を可視化し、経営戦略や営業戦略の改善に役立てるフレームワーク。VRIOは「Value(経済的価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の頭文字をとったものであり、抽出したリソースを評価する基準です。
Value |
そのリソースは売り上げの拡大に寄与するか? |
Rarity |
市場における希少性が高いリソースなのか? |
Imitability |
他社がそのリソースを模倣するのは難しいか? |
Organization |
そのリソースを生み出す組織が属人化していないか? |
VRIOの項目それぞれにYES / NOで答えることにより、抽出したリソースの競争優位性が「Competitive Disadvantage(劣位)」「Competitive Parity(均衡)」「Temporary Competitive Advantage(一時的に優位)」「Unused Competitive Advantage(未活用の優位性)」「Sustainable Competitive Advantage(持続的な優位性)」のどれに当てはまるのか?評価していきます。
【無料】営業代行会社を紹介してもらうフレームワークを営業戦略策定に活用する際の注意点
最後に、フレームワークを営業戦略策定に活用する際に、注意しておきたいポイントを紹介していきましょう。
時間をかけすぎない
3C分析 / PEST分析の結果をSWOT分析に適用する、4C分析と4P分析を掛け合わせるなど、複数を組み合わせて分析するのがフレームワークの基本。
しかし、多面的かつ深く分析することに集中していては、フレームワークのメリットである「効率的な営業戦略策定」を活かせません。フレームワークを活用した分析には時間をかけすぎないことがポイントです。
フレームワークは目的ではない
フレームワークは、テンプレートに事実を当てはめて分析することで思考を整理するためのツールに過ぎません。フレームワークを活用することが目的ではなく、営業戦略を立案するために思考を整理する「道具」だということを認識しましょう。
たとえば、Excel / WordなどのOfficeアプリケーションは、ビジネスを合理化するさまざまな使い方が可能ですが、どのような場面でも最適なツールだとは限りません。フレームワークも同じこと。特定のフレームワークに固執するのではなく、多種多様なフレームワークのなかから課題解決に最適なものを選ぶことが重要です。
営業戦略に役立つフレームワークを紹介しました
「営業戦略策定に有効というが、フレームワークのことはよくわからない」という方に向け、概要とともに、営業戦略策定に役立つフレームワークを厳選して紹介しました。
課題を抽出して思考を整理するのに役立つフレームワークは、営業戦略策定にも非常に有効。しかし、フレームワークがすべての経営 / 営業課題を解決してくれるわけではありません。課題に応じた適切なフレームワークを選定することがポイントです。
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