営業代行の契約書とは?確認ポイントや契約の流れ、注意点を解説【2024年最新版】
「会社内に営業部隊がいない」または「営業はいるがさらなる売上増加を狙いたい」という場合、営業代行に依頼することがあるかと思います。依頼の際には、営業代行業者と契約書を取り交わすことになりますよね。
- 営業代行の契約書とはどんなものか?
- 業者から契約書が送られてきたがどこを確認すればいいのか?
- 契約する上で注意すべきことは?
本記事では、上記の疑問を持っている方に向けて、営業代行の契約書について解説します。最後まで読めば、営業代行の契約書の確認ポイントや契約の流れがわかり、スムーズに契約を進められるようになりますのでぜひご覧ください。
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営業代行における契約とは?
営業代行における契約がどんなものかわかっていなければ、当然契約の内容が正しいかも判断できません。まずは契約書の必要性や種類、形態を理解しておきましょう。
営業代行における契約書の必要性は?
営業代行における契約書は、トラブルを回避するために必要なものです。
実際のところ、営業代行における契約は、契約書なしの口約束でも成立する契約です。しかし、契約書に契約内容を残していなかった場合、トラブルがあった時に責任の所在が不明瞭になってしまいます。
そのため契約書を交わさずに依頼を進めてしまうと、業務不履行や情報漏えいなどのトラブルが起きたときに責任を追求できない場合があり、注意が必要です。
一方で、契約書で業務内容や秘密保持、損害賠償などについて定めておけば、そうしたトラブルに発展しづらくなります。また、業務を受託した側も、契約書があることで報酬金額や期間などが明確になり安心して業務を進められます。
このように、契約書は発注側・受注側の両者を守るために大切なものです。
契約の種類は業務委託契約
営業代行で代行会社と結ぶ契約は一般的に「業務委託契約」と呼ばれます。
業務委託契約は、自社の業務の一部を外部に委託する際に締結する契約のこと。営業代行であれば、「営業」という自社業務を「外部の営業代行会社に委託する」ことが該当します。
なお、実は法令で「業務委託契約」という名のものが定められているわけではありません。業務委託契約は「請負契約」「準委任契約」「委任契約」の総称です。
このうち「委任契約」は、契約代理などの法律行為に関する契約。そのため、営業代行を含む一般的な業務委託は「請負契約」、もしくは「準委任契約」になります。ふたつの違いを見ていきましょう。
請負契約
請負契約は、仕事の「完成」をもって報酬を支払うことを約束する契約です。
営業代行で請負契約を結ぶ場合、決められた「売上」(=成果)を達成しなければ、原則報酬は発生しないことになります。「得られた売上の何割かを報酬として受け取る」といった、成果報酬型の場合も請負契約が採用される場合があります。
請負契約を行う場合は、報酬についてしっかり取り決めをしておくことが大切です。
準委任契約
準委任契約は、仕事の「遂行」をもって報酬を支払うことを約束する契約です。一般的には、営業代行は「準委任契約」に該当する場合がほとんど。
営業代行の場合、訪問による販売やメール送付、テレアポの実施などの業務そのものに対して報酬を支払うのが準委任契約です。なお、時給や日給、月給にプラスして成績によって成果報酬を支払う「複合型」も準委任契約に該当します。
どちらの契約形態を選ぶ場合でも、自社と外注先との間でしっかりと契約内容のすり合わせを行うことが重要です。
業務委託契約書の形態は2パターン
営業代行に限らず、業務委託契約を行う場合には2パターンの契約の形態があります。代行会社によって違いがあるため、それぞれ理解しておきましょう。
パターン(1)基本契約+個別契約
営業代行において多いのは、「基本契約」と「個別契約」の2つを締結するパターンです。はじめにすべての取引で必要な約束事を「基本契約」として定めた上で、個々の取引で決まる細かな内容を必要に応じて「個別契約」で締結します。
営業代行の場合、代行業務は1回限りでなく、継続的に委託する場合がほとんどです。基本契約を一度締結してしまえば継続的な取引は簡単な個別契約のみで済むため、手間や時間がかからないというメリットがあります。
基本契約と個別契約の内容の違いは以下の通り。
- 基本契約:契約期間、更新方法、損害賠償などの基本的な約束事
- 個別契約:報酬、作業範囲など個別の条件
なお、基本契約では「個別事項を別途個別契約で定めること」、「どちらの契約を優先するか」のふたつも定めておくとトラブルの回避につながります。
継続的な委託が発生する可能性がある場合は、基本契約+個別契約のパターンを採用するのがよいでしょう。
パターン(2)1つの契約書のみ
もう1つのパターンは、「基本契約」「個別契約」のような括りは無しで、1つの契約のみで締結するパターンです。
1つの契約のみの場合、案件ごとに都度条件を定めて、契約書を作成する必要があります。契約自体はシンプルになりますが、毎度契約書を作成する手間が発生するのがデメリットです。
【無料】プロが営業代行業者をご紹介します営業代行の契約を締結するまでの流れ
続いて、契約を締結するまでの流れを確認しましょう。流れを把握することで、どのタイミングで契約を結ぶことになるのか、どういった点に注意すればいいのかがわかります。
(1)営業代行会社と打ち合わせする
営業代行会社を選定したら、まず打ち合わせによって以下のような内容を取り決めます。
- 委託する業務の内容
- 報告・連絡手段・相談についての取り決め
- 報酬金額や時期、支払い方法
- 秘密保持の有無
契約内容についてはこのあと項目ごとに確認ポイントを詳しく紹介しますので、そちらを参考にしてください。
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(2)契約書の内容を確認・調整する
打ち合わせが完了したら、契約締結の手続きに入ります。
契約書は、営業代行会社側で準備していることがほとんどです。提示された契約書の内容を確認して、打ち合わせ内容と相違がないか確認します。以下のポイントに注意をして内容を確認しましょう。
- 発注側が著しく不利など、不平等な契約になっていないか
- 打ち合わせで合意した内容と相違がないか
トラブルを回避するためには、契約書の内容をしっかり確認して代行会社とすり合わせを行うことが大切です。わからない部分があれば放置せずに質問しましょう。
なお、自社に確認できる人材やリソースがない場合は、外部の法律専門家にチェックを依頼(=リーガルチェック)を行うのも1つの手です。
自社にとって不利な内容になっていたり、認識相違があったりした際には、内容の調整を行います。
(3)契約を締結する
内容のすり合わせが完了したら、いよいよ契約の締結です。
契約書を2通作成して、双方で署名・押印をします。契約書のやり取りは郵送または電子契約にて行います。
電子契約や捺印、収入印紙については「営業代行の契約書のよくある疑問」の箇所にて後述します。そちらも参考にしてください。
営業代行の契約書に記載する内容とチェックポイント
営業代行の契約の流れを確認できたら、具体的な契約書の確認ポイントについて見ていきましょう。チェックポイントをしっかり理解しておくことで、契約におけるトラブルを回避することにつながります。詳しく見ていきましょう。
委託業務の範囲や内容
委託業務の範囲と内容が明確に記載されているか確認しておきましょう。業務内容の認識がずれていると、依頼したかった作業が依頼できなかったり、追加費用がかかったりするなどのトラブルにつながってしまいます。
営業代行においては、たとえば以下のような内容がサービスに含まれます。
- 営業リストの作成
- テレアポ
- 商談実施
- クロージング対応
- インサイドセールス
- カスタマーサクセス
- 営業ツールの制作
- 営業部門における研修や新人育成
- 営業戦略についてのコンサルティング
こうした多岐に渡る業務の中で、どの業務を任せるのか明確に記載することが大切です。
報酬形態や支払期限・方法
報酬については、以下3つが明確になっているか確認しましょう。
- 報酬形態
- 支払い期限
- 支払い方法
営業代行の報酬形態は「成果報酬型」「固定報酬型」「複合報酬型」のいずれかが該当します。
成果報酬型とは、アポイント獲得や案件成約などの成果が得られた分のみ、営業代行会社の報酬が発生する費用体系のこと。一方で固定報酬型とは、成果にかかわらず毎月一定の報酬を営業代行会社に支払う費用体系のことです。成果報酬型と固定報酬型を組み合わせた費用体系を採用する営業代行会社もあります。
報酬形態は発注側が指定するよりも、営業代行会社側から説明を受けるのが一般的です。
また、「委託代金の当月分を翌月20日までに指定する金融機関の口座に振り込む」など、支払期限や支払い方法についても明確にしておきましょう。
経費の取り扱い方
営業代行で発生した経費の取り扱い方についても、契約書で定めておくことが必要です。具体的には、交通費やインターネット代などが該当します。
交通費は発注側、電話やインターネット料金は営業代行者が負担するのが一般的。営業代行会社側にて決められている場合もあるため、打ち合わせ時に確認しましょう。また、経費は報酬に含むのか、実費を支払うのかなど、経費の支払い方法についても明確にしておきましょう。
契約期間
年単位や月単位など、契約期間が契約書に記載してあるか確認しましょう。
また、営業代行は継続的に業務が発生する契約のため、契約の更新と解除に関する事項も記載しておくことが必要です。
【記載イメージ】
- 本契約の有効期間は、20○○年○月○日から20○○年○月○日までとする
- 期間満了の1か月前までに書面による変更または終了の申し出がなければ、契約期間は3か月延長される
- 契約違反があった場合は本契約の全部または一部を解除できる
上記のように契約期間・更新・解除について明確にしておきましょう。
報告に関する取り決め
業務内容の報告手段やタイミングについて同意を得ておきましょう。営業代行の業務では、報告をもらえなければ、発注側が進捗を把握することが難しくなってしまいます。
【記載イメージ】
- 毎月末日までに業務の履行状況を、翌月第3営業日までに書面で報告する
- アポイントが成立した場合、成立日の翌営業日12時までに成立内容を報告する
- 見込み客と面談を実施した場合、その内容を電子メールにて報告する
営業代行会社に報告なしにすべてを任せるのはリスクが高いため、上記のように報告に関する取り決めをしておきましょう。
秘密保持に関する内容
秘密保持に関する契約が記載されているか確認しましょう。
営業代行では、顧客リストなどの個人情報や会社情報を委託先に提供して業務を遂行する場合がほとんどです。万が一機密情報が漏えいすれば、自社のイメージダウンや損害賠償など大きな問題に発展する恐れがあります。
【記載イメージ】
相手方の書面による承諾なくして、本契約に基づきまたは関連して知り得たアイディア、ノウハウ、データ等の相手方の営業上、技術上またはその他の業務上の秘密情報を第三者に開示・漏洩または本契約以外の目的のため自己または第三者のために利用してはならない。
上記のように秘密保持について契約書に言及しておきましょう。
損害賠償の範囲・金額
損害賠償の範囲・金額が明確に定義されているか確認しましょう。損害賠償の定義が曖昧だと、トラブル時に損害賠償に応じてもらえないリスクがあります。
【記載イメージ】
- 本契約上の義務違反により、相手方が損害を被った場合は、損害賠償を請求できる
- 直接発生した通常かつ現実の損害の範囲内でその損害を賠償するものとする
上記のように、「どのような場合に」「いくらまでを」賠償する必要があるのか明確にしておきましょう。
【無料】プロが営業代行業者をご紹介します営業代行の契約書のよくある疑問
契約書の締結においてよくある疑問をまとめます。疑問に思う事項の確認や自分の認識が合っているかのチェックのためにご確認ください。
契約書に捺印は必要?
契約書の捺印については、「しなくてもよいが、しておいたほうが安心」という回答になります。
前述した通り、そもそも業務委託契約は、契約書がなくても成立する契約です。そのため、捺印がなくても契約は成立します。
しかし、それでも契約において捺印するのが一般的となっているのは、裁判に発展した際に捺印があると証拠として認められやすくなるという理由があります。
そのため、冒頭の回答の通り、「義務づけられているわけではないが、裁判になった際のことを考えるとしておくのがよい」というのが結論です。
なお、捺印は割印・契印をすることで、同じ内容の契約書であること、契約書に改ざんがないことの証明になります。
- 割印:複数の文書(原本と写しなど)に渡って押す押印方法
- 契印:複数ページに契約書にてそれぞれのページにまたがって押す押印方法
念のために割印・契印をしておいてもよいでしょう。
契約書の送付は郵送?
契約書の送付手段について、法律上で規定があるわけではありません。そのため、営業代行会社と相談できていれば、郵送で送っても問題ありません。
ただし、送付方法には注意が必要です。契約書は「信書」といって、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」です。
契約書を郵送する場合、普通郵便は避け、「日本郵便株式会社」もしくは国から許可を得た業者が提供している信書の郵送サービスを利用しましょう。簡易書留・レターパック・特定記録郵便のいずれかのサービスが望ましい方法です。
電子契約でもいい?
業務委託契約は、電子契約でも問題ありません。電子契約の場合、以下のようなメリットがあります。
- 印刷費の削減になる
- 印紙税の削減になる
- 管理がしやすい
- 契約締結までの時間が短縮できる
- リモートワークで対応が可能になる
一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 営業代行会社からの理解や協力が必要になる
- 場合によっては社内の業務フローを変更する必要がある
メリットデメリットを照らしあわせて、互いに合意の取れる方法での契約が望ましいでしょう。
収入印紙の貼付は必要?
収入印紙が必要かどうかは、契約内容が「準委任契約」か「請負契約」かによって異なります。
- 準委任契約:収入印紙は不要
- 請負契約:収入印紙の貼付が必要
準委任契約の場合、課税文書の対象とならないため収入印紙は不要となります。請負契約の場合は収入印紙の貼付が必要で、契約金額に応じて必要な印紙代が異なります。
営業代行契約書のテンプレートをダウンロードできるサイト3選
中には、営業代行会社から「契約書を送付して欲しい」と依頼されるケースもあるでしょう。最後に、営業代行契約書のテンプレートをダウンロードできるサイトを紹介します。テンプレートを元にカスタマイズして使用してください。
株式会社マネーフォワードが提供しているテンプレ
画像引用:マネーフォワード クラウド契約「営業代行委託に関する契約書」
株式会社マネーフォワードが運営している電子契約書管理サービス「マネーフォワード クラウド契約」が提供するテンプレートです。ダウンロードにはフォームへの入力が必要になり、入力したメールアドレス宛にテンプレートのURLが送付されます。
テンプレートBANKが提供しているテンプレ
画像引用:テンプレートBANK「業務委託契約書(営業代行)」
ビジネスで使える各種テンプレートをそろえている「テンプレートBANK」が提供している営業代行契約書のテンプレートです。テンプレートBANKへの無料会員登録をすることで、テンプレートがダウンロードできるようになります。
営業代行会社が業務委託契約書(営業代行)運営している営業代行JPのテンプレ
画像引用:営業代行JP「営業代行契約書雛形」
営業代行会社である「株式会社タスク」が公開している営業代行契約書のテンプレートです。サイトへの会員登録など無しに、誰でも無料でダウンロードできます。
営業代行の契約書の種類、流れ、確認ポイントを解説しました
営業代行の契約について解説しました。
- トラブル回避のためには契約書の締結が大切
- 営業代行の契約は業務委託契約の中の請負契約または準委任契約に該当する
- 基本契約+個別契約のパターンと、1つの契約のみのパターンがある
- 契約書の内容はしっかり目を通し、代行会社と調整を行うこと
なお、最後まで読んで「契約についてはわかったが、そもそも営業代行業者の選定に悩んでいる」という方は営業幹事にご相談ください。業者選びや契約に関するご相談に無料でお答えします。予算や目的からおすすめの営業代行会社をご紹介も可能です。
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