エンタープライズ営業とは?概要・特徴・営業のステップ・成功のポイントを解説【2024年最新版】

エンタープライズ営業とは?概要・特徴・営業のステップ・成功のポイントを解説!

エンタープライズ営業に取り組む企業が増えていると聞くがなぜなのか?自社も取り組むべきなのか?これまで大企業へのアプローチを考えていなかった営業マネージャーなら知りたいはず。そんな方に向け、概要・特徴から営業の手順・ステップ、成功のポイントまで、エンタープライズ営業の全体像を解説していきます。

なお、エンタープライズ営業を支援してくれる会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. エンタープライズ営業とは
    1. 1-1. 一般的なBtoB営業(The Model)との違い
  2. 2. エンタープライズ営業ならではの特徴
    1. 2-1. 見込み顧客(リード)の絶対数が少ない
    2. 2-2. 売上が大きく解約率が低い
    3. 2-3. 水平 / 垂直展開を期待できる
    4. 2-4. 決裁までのリードタイムが長い
    5. 2-5. 要件 / カスタマイズ対応
  3. 3. エンタープライズ営業のキーとなるABM
  4. 4. エンタープライズ営業の手順・ステップ
    1. 4-1. ターゲットアカウントの特定
    2. 4-2. アカウントプランの設計・作成
    3. 4-3. BDRでキーマンにアプローチ / 接触
    4. 4-4. アカウントプランのレビュー / 修正
  5. 5. エンタープライズ営業を成功させるポイント
    1. 5-1. アカウントマネージャーをハブにした全社連携体制
    2. 5-2. 重要なのはキーマン / パワーストラクチャー
    3. 5-3. リファラル戦略も有効
    4. 5-4. 定期的なレビューとプランのアップデート
  6. 6. エンタープライズ営業に必要なスキル
  7. 7. 【まとめ】エンタープライズ営業の全体像を紹介しました

エンタープライズ営業とは

エンタープライズ営業とは、文字通り「アプローチの対象を大企業(エンタープライズ)に絞った」営業活動、または営業担当者のこと。エンタープライズセールスと呼ばれる場合もあります。

エンタープライズ営業の目的は、特定の大企業と中長期的な関係性を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化すること。つまり、エンタープライズ営業は「アプローチすべきアカウント(企業)を特定する」ことからすべてがスタートします。このため、エンタープライズ営業の考え方・アプローチ手法は、一般的なBtoB営業と大きく異なります。

一般的なBtoB営業(The Model)との違い

一般的なBtoB営業では、獲得した見込み顧客(リード)から契約確度の高いホットリードを絞り込み、商談 > 契約というプロセスを経る場合が一般的。この営業プロセスを体系化し、フェーズごとに役割を分担・連携させた営業手法を「The Model」といいます。具体的には以下の通り、

営業プロセス

概要

マーケティング

リードの掘り起こし / 獲得

インサイドセールス

獲得したリードのナーチャリング(育成)/ アポイント獲得

フィールドセールス

対面で商談し、顧客として獲得

カスタマーサクセス

サポートを通じたアップセル / クロスセル、優良顧客化を促す

The Modelを含む一般的なBtoB営業は、プロセスを経るごとに、漏斗のようにリード数が絞り込まれていきます。大企業からのコンタクトを得られる場合もありますが、ターゲットはあくまでもSMB(Small and Medium Business:中小企業)です。最初から特定の大企業のみをターゲットにするエンタープライズ営業とはこの点が異なります。

また、多数のリードを必要とするThe Modelは、リードからコンタクトしてくるように仕向けるインバウンド型セールスが主なアプローチ手法。一方のエンタープライズ営業は、リードへ積極的にアプローチするアウトバウンド型セールスが主なアプローチ手法。両者は営業のアプローチ手法も異なるのです。

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エンタープライズ営業ならではの特徴

それでは、なぜエンタープライズ営業では、考え方・アプローチ手法が一般的なBtoB営業と異なるのか。それは、大企業を対象にするエンタープライズ営業ならではの特徴、難しさがあるからです。簡単に解説していきましょう。

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見込み顧客(リード)の絶対数が少ない

エンタープライズ営業の対象となる大企業は、企業数全体の0.3%に過ぎない約11,000社だといわれています。つまり「獲得可能なリードの絶対数が少ない」ことがエンタープライズ営業の特徴、難しさです。

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画像出典:中小企業庁 2023年版「中小企業白書」

絶対数の少ない大企業は、取引を狙う数多くの企業からアプローチを受けています。当然、過去に取引のない企業へ、大企業がわざわざ問い合わせるということはほとんどありません。つまり、エンタープライズ営業は、アウトバウンド型セールスを駆使して、商談までの激しい競争を勝ち抜いていく必要があるのです。

売上が大きく解約率が低い

従業員数の多い大企業を対象にするエンタープライズ営業は、成約すれば大きな売上を期待できる特徴があります。製品・サービス変更にともなうワークフローの変化を避ける傾向もあるため、解約率を抑えた中長期的な関係性を構築しやすいことも特徴です。

サブスクリプションビジネスを展開するSaaS企業をはじめ、多くの企業がエンタープライズ営業に注目する理由だといえるでしょう。

水平 / 垂直展開を期待できる

大企業は社内に多数の部署を持つだけでなく、日本各地に支社、子会社、関連会社を持つ場合が一般的。こうした大企業の組織構造を活かし、他部署への納入を進める垂直展開、支社 / 子会社への納入を進める水平展開を期待できることもエンタープライズ営業の特徴です。

大企業ならではの組織構造の活用は、LTVを最大化するというエンタープライズ営業の目的とも合致します。

決裁までのリードタイムが長い

商談から契約まで、The Modelのリードタイムは比較的短いのに対し、エンタープライズ営業のリードタイムは長期化しやすい特徴があります。これは、組織構造の複雑な大企業では、決裁者が複数存在する上、部署間の調整に時間がかかるからです。

決済のステップが進んでいくなかで、追加の資料提出や説明を求められる場合もあるため、エンタープライズ営業は担当者に大きな負担を強いる傾向があります。

要件 / カスタマイズ対応

ワークフローの変化を避ける傾向のある大企業は、解約率が低いことは上述した通り。一方、ワークフローの変化を避けるために、製品をワークフローにあわせたいニーズが高いことも大企業の特徴に挙げられます。

つまり、大企業の製品に対する要件は厳しく、ときにはカスタマイズを求められることも少なくありません。エンタープライズ営業では、こうしたニーズにも柔軟に対応せざるを得ない難しさがあります。

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エンタープライズ営業のキーとなるABM

フェーズごとに役割分担するThe Modelの場合、営業が担当するのは主に「初回商談から成約までのフィールドセールス」です。一方、ターゲットアカウントの選定からスタートするエンタープライズ営業の場合、営業とマーケティングが同じ戦略のもと、一体となってプロジェクトを推進します。この共通戦略が「ABM(Account Based Marketing)」です。

ABMとは、プロダクトではなく、文字通り「アカウント(企業)」ベースで考えるマーケティング戦略のこと。LTV最大化を目的に、選定したターゲットアカウントへ集中的にアプローチしていくマーケティング手法です。

エンタープライズ営業の手順・ステップ

つまり、エンタープライズ営業の担当者は、商談フェーズから関わるのではなく、リードの創出フェーズ(アカウント選定)からプロジェクト全体に関わります。以下から、エンタープライズ営業の具体的な手順・ステップを簡単に解説していきましょう。

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ターゲットアカウントの特定

まず最初にやるべきことは、アプローチ先となるターゲットアカウント(エンタープライズ企業)の特定です。主にABMツール / MAツールを活用し、自社商材との相性のいいアカウントを、事業内容 / 会社規模 / 将来性などを加味しながら選定。ポイントは、エンタープライズ営業の目的でもある「LTV」です。

ABMツールとは、効率的にターゲットアカウントを選別できる、ABMに特化した顧客情報管理ツールのこと。MA / SFAツールと連携できるほか、ABMに欠かせない法人データベースも利用できます。代表的なサービスとして挙げられるのは「uSonar(ユーソナー)」です。

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画像出典:uSonar

アカウントプランの設計・作成

選定したターゲットアカウントに特化した営業計画書「アカウントプラン」を設計・作成します。アカウントプランとは、ターゲットアカウントのLTV最大化を目的にした、中長期的な営業計画書であり、ABMのアプローチ戦略実行計画書でもあります。

LTV最大化を狙う提案 / アクションプランを策定するため、アカウントプランの設計・作成にはターゲットアカウントの詳細情報が必要。最低限必要な情報は以下の通りです。

企業情報

基本情報:資本金・売上高・従業員数・株価・業界の立ち位置など

事業内容:事業構成・主力商品 / サービスなど

財務データ、事業戦略、中期経営計画など

組織図 / キーマン /

 パワーストラクチャー

キーマンの特定と決裁権を含む力関係の把握が重要

システムマップ

新規導入 / リプレイスを狙う既存システムの導入状況

顧客の課題

入手した情報をもとに仮説を立てる

提案内容と目標

仮説をもとに、ビジネス規模やスケジュールも明らかにする

競合他社の状況

他社の分析、競合に勝つための条件

商談獲得シナリオ /

営業シナリオ

キーマンとのコンタクト方法、案件獲得するためのストーリー

アクションプラン

1週間〜四半期・中長期に分割した実行計画

アカウントプランについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:アカウントプランとは?作成・実行の重要ポイント / ABMとの関係を解説!

BDRでキーマンにアプローチ / 接触

作成したアカウントプランにしたがって、アクションプランを実行していきます。商談以降のプロセスは業種 / 商材によって異なりますが、最初のステップであるキーマンへのアプローチ / 接触は「BDR」の手法で実施されることが一般的です。

BDR(Business Development Representative)とは、アウトバウンド型インサイドセールスのこと。具体的には、電話、メール、Web会議ツールなどを活用し、ターゲットアカウントへ積極的にアプローチするインサイドセールス手法です。エンタープライズ企業のキーマンに対しては、手紙が有効だといわれています。

BDRについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:BDRとは?SDRとの違い・ABMとの関係・アプローチの手法を解説!

アカウントプランのレビュー / 修正

アクションプランの実行中も、進捗状況を随時レビューし、アカウントプランを修正 / アップデートしていきます。中長期的にターゲットアカウントのLTV最大化を狙うエンタープライズ営業では、競合他社の存在、市況の変化などを戦略 / 戦術に反映させなければならないからです。

エンタープライズ営業を成功させるポイント

ここまでの解説で、エンタープライズ営業の全体像を把握できたのではないでしょうか。しかし、これまでにエンタープライズをターゲットにしてこなかった企業にとっては、未知の部分も多いはず。プロジェクトを成功させるにはどうすべきか?そんな方に向け、エンタープライズ営業を成功させる、ヒントとなるポイントを紹介していきます。

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アカウントマネージャーをハブにした全社連携体制

エンタープライズ営業は、営業とマーケティングが一体になって実行するものであることは上述した通り。しかし、実際には営業とマーケティングの枠組みを超え、全社一体となった連携体制を構築する必要があります。キーになるのは、アカウントプランを設計・作成する営業担当者(アカウントマネージャー)です。

具体的には、アカウントマネージャーをハブに、営業マネージャー / 経営層 / 製品担当者 / マーケティング / インサイドセールスとの連携体制を構築します。なぜなら、エンタープライズ営業ならではの特徴に対応するには、各部門とのスムーズな連携 / 協力が欠かせないからです。自社の状況によっては、組織体制の改変が必要かもしれません。

重要なのはキーマン / パワーストラクチャー

エンタープライズ営業で重要なのは、キーマンの特定とパワーストラクチャー(決裁権を持つ人との力関係)の把握。なぜなら、エンタープライズ企業の決裁プロセスは複雑かつ長期化する傾向にあるからです。

キーマンの特定を見誤ると、自社商材を熱心に推してはくれるものの、いつまで経っても成約できないというパターンになりがち。決裁プロセスを短縮するためにも、キーマンの特定とパワーストラクチャーの把握は重要なのです。

リファラル戦略も有効

キーマンへアプローチ / 接触するための戦術は主にBDRですが、これまでに接点のなかったアカウントへのアプローチは簡単ではありません。BDRで状況を打開するのが難しければ、リファラル戦略を活用する方法もあります。

リファラル(Referral)とは、「紹介」「推薦」などの意味を持つ英単語。その名の通り、自社と関係のある企業にターゲットアカウントとの接触を手伝ってもらう営業手法です。リファラル戦略の主な手法は以下の通り。

リファラル戦略の主な手法

概要

紹介営業

ターゲットアカウントと接点のある

自社パートナー企業に手数料を支払って紹介してもらう。

決裁者にアプローチできる可能性が高い

販売代理店契約

ターゲットアカウントと接点のある販売代理店に

営業を代行してもらう。

決裁者にアプローチできる可能性が高い

イベント共催

ターゲットアカウントと属性の近い他社を狙う企業と

イベントを共催。

それぞれがリードを獲得できる

定期的なレビューとプランのアップデート

アクションプラン実行中も、レビューとプランのアップデートを実施することは上述した通りですが、定期的に実施することがエンタープライズ営業を成功させるポイント。なぜなら、プロジェクトの進捗状況にかかわらず、ターゲットアカウントの状況や市況が変動するからです。

具体的には、マーケティング / インサイドセールス、営業マネージャーとは数日〜1週間に1度程度、経営層とは1か月〜四半期に1度程度が目安です。

エンタープライズ営業に必要なスキル

一大プロジェクトとなるエンタープライズ営業ですが、アカウントマネージャーとなる営業担当者にはどんなスキルが必要なのか?知りたい方は少なくないかもしれません。しかし、マーケティングやインサイドセールスの知識は必要なものの、営業マンとして必要なスキルを身に付けているのであれば、特別なスキルは不要です。

強いて挙げれば、各部門とスムーズに連携する調整力ですが、それよりも営業担当者には忍耐力が求められるでしょう。中長期的なプロジェクトであるエンタープライズ営業は、多くの労力と時間を必要とするからです。

【まとめ】エンタープライズ営業の全体像を紹介しました

エンタープライズ営業に取り組む企業が増えていると聞くがなぜなのか?自社も取り組むべきなのか?そんな疑問を持つ営業マネージャーの方に向け、概要・特徴から営業の手順・ステップ、成功のポイントまで、エンタープライズ営業の全体像を解説してきました。

一般的なBtoB営業とベクトルの異なるエンタープライズ営業は、労力と時間を要することは事実ですが、ビジネスを安定的かつ継続的に成長させるためにも重要です。リソースが不足している、体制づくりに不安があるという場合は、外部のリソースを頼るのも方法です。

なお、エンタープライズ営業を支援してくれる会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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