BDRとは?SDRとの違い・ABMとの関係・アプローチの手法を解説【2024年最新版】
近年耳にすることの多くなったBDRとは?
自社営業部門を強化したいマネージャーなら知りたいはず。
そんな方に向け、BDRとはなにか?役割の異なるSDRとの違いから、ABM戦略との関係、具体的なアプローチ手法まで、BDRの全体像をわかりやすく解説していきます。
なお、BDRの実行を代行・支援してくれる会社の探し方・選び方がわからない!という方は営業幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
【無料】BDRの代行・支援会社を紹介してもらうBDRとはアウトバウンド型インサイドセールス
Business Development Representativeの略称であるBDRとは、主に新規開拓を目的としたアウトバウンド型インサイドセールス手法のこと。アウトバウンド型インサイドセールスを担う部署、チームをBDRと呼ぶこともあります。
アウトバウンド / インサイドセールスとは
アウトバウンドセールスとは、見込み顧客(リード)に対し、自社から積極的にアプローチする営業手法のこと。飛び込み営業やテレアポなどがアウトバウンドセールスの代表です。
一方のインサイドセールスとは、電話、メール、Web会議ツールなどを活用し、非対面でリードにアプローチする内勤営業活動、または部署のこと。顧客先に出向いて商談するフィールドセールスと異なり、自社内で営業活動をすることが基本です。
つまりBDRとは、電話、メール、Web会議ツールなどを活用し、リードへ積極的にアプローチする内勤営業手法、または部署、チームのことを指します。
BDRのターゲットはエンタープライズ
BDRの目的は、自社の売上 / 利益を最大化すること。
そのため、BDRでは中堅企業から大企業までのエンタープライズ領域を対象に、ターゲット企業をピンポイントに定めて新規開拓営業を展開します。
BDRがアウトバウンド型インサイドセールスであるのはこのため。従来のテレアポや飛び込み営業と異なり、アウトバウンド型インサイドセールスはピンポイントでターゲット企業へアプローチするのに適しているからです。
フィールドセールスとの連携
インサイドセールスの手法であるBDRの領域は、リード獲得 > ナーチャリング(育成)> 商談の創出まで。その後の商談 > 受注 > 契約までのプロセスは、フィールドセールスに引き継がれる場合が一般的です。
営業組織の構成によっては、BDRで契約までを担当することもありますが、フィールドセールスに引き継ぐ場合は情報共有 / 連携が重要。リード獲得から契約まで、CRMで顧客情報を管理するなどの工夫が必要です。
【無料】BDRの代行・支援会社を紹介してもらうBDRとSDRの違い
BDRに関連して「SDR」という言葉を耳にしたことのある営業マネージャーも多いでしょう。SDRはインサイドセールスの1つではあるものの、同じインサイドセールスであるBDRとはさまざまな点で違いがあります。
SDRはインバウンド型インサイドセールス
Sales Development Representativeの略称であるSDRとは、反響営業を主体とするインバウンド型インサイドセールス手法のこと。インバウンド型インサイドセールスを担う部署、チームをSDRと呼ぶこともあります。
インバウンドセールスとは、リードの購買意欲を高める情報を発信し、リード側からのアプローチを促す営業手法のこと。Webサイト / コンテンツからの問い合わせ / 資料請求、展示会やセミナーなど、オンライン / オフラインのさまざまなチャネルでリードを獲得し、商談創出につなげます。
SDRのターゲットはSMB
潜在的な顧客に向けて幅広く情報発信するSDRのターゲットは、原則としてSMB(Small toMedium Business)です。具体的には、中小企業から中堅企業までがSDRの領域。
ただし、幅広い潜在層にアピールするSDRは、問い合わせがあるまで本当の意味でのターゲットはわかりません。
エンタープライズをターゲットにするBDRでは決済までのリードタイムは長期化しがちなのに対し、リードの購買意欲が高いSDRのリードタイムは短かくなる傾向にあります。
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BDR |
SDR |
営業手法 |
アウトバウンド型インサイドセール |
インバウンド型インサイドセールス |
ターゲット |
エンタープライズ |
SMB |
決済までの リードタイム |
長い |
短い |
BDRのエンタープライズアプローチが注目される理由
それでは、決済までのリードタイムが長期化しがちなエンタープライズへアプローチするBDRは、なぜ注目されているのでしょうか?
それは、産業構造の変化をはじめとするいくつかの理由によります。以下から簡単に解説していきましょう。
SaaS型サブスクリプションビジネスの定着と拡大
まずは、インターネット / ネットワークインフラの整備、IT投資への増加を背景に、SaaS型サブスクリプションビジネスが定着・拡大したことが挙げられます。
サブスクリプションビジネスは、継続的な利益を得られるメリットがある反面、投資を回収するまでに長い時間がかかります。これを短縮するには契約数を増やす、解約率を下げることが必須。そのために有効なのがエンタープライズをターゲットにするBDRなのです。
事実、上場するアメリカのSaaS企業81社のうち、約94%にあたる76社がエンタープライズをターゲットにしています。
エンタープライズの付加価値は高い
SaaS企業がエンタープライズをターゲットにする理由は、従業員数の多いエンタープライズなら大口契約につながりやすいことが1つ。もう1つは、SMBと比較してエンタープライズの解約率が低いことです。
画像出典:Tomasz Tunguz
BDRに注目しているのはSaaS企業だけではありません。なぜなら、日本企業の0.3%に過ぎない大企業は、全体の47.1%に相当する約120.5兆円もの付加価値を生み出しているからです。たとえ取引社数が少なくても、エンタープライズ企業を顧客として獲得できれば、ビジネスを大きく成長させることも可能です。
画像出典:中小企業庁 2023年版「中小企業白書」
SMBの開拓には限界がある
一方、SMB領域は契約あたりの単価はどうしても小額になりがち。特にSaaS企業にとっては、新規契約を獲得しても解約率が下がらない自転車操業状態に陥ってしまいがちです。SMB領域が必要ないということではなく、安定的にビジネスを継続していくのならば、エンタープライズ領域をターゲットにするBDRが重要だということです。
BDRに欠かせないマーケティング戦略「ABM」とは
BDRとは「売上 / 利益の最大化」という目的を達成するための「営業戦術」です。つまり、戦術の前提である戦略があるはず。それが「ABM(Account Based Marketing)」といわれるマーケティング戦略です。
ABMとは、その名の通り「自社にとって高い価値を持つ企業(アカウント)」をアプローチ先のターゲットに定め、売上 / 利益の最大化を目指すマーケティング戦略のこと。高い価値を持つ企業とは、エンタープライズ領域の企業を指します。
以下から、マーケティング戦略としてのABMの手順・ステップを簡単に紹介します。
高いLTVの見込めるターゲットアカウントを選定
ABM最初のステップは、高いLTVの見込めるターゲットアカウント(企業)を選定することです。LTV(顧客生涯価値)とは、取引開始から関係終了までに顧客から得られる売上 / 利益のこと。業種・業態・規模を含む会社情報、自社との親和性、競合他社の存在などを調査し、総合的な観点からターゲットアカウントを選定します。
主に新規開拓を目的とするABMですが、すでに取引のあるエンタープライズ企業も対象。LTVの最大化を目指すABMの場合、まだ取引のない部署、子会社、関連企業などもアプローチ対象となるからです。
アプローチ戦略の策定 / キーマンの特定
次のステップは、選定したターゲットアカウント専用のアプローチ戦略を策定することです。LTV最大化を目指すため、ABMのアプローチ戦略は「中長期的な視点」で策定されることが特徴。こうしたターゲットアカウントに特化した中長期計画書を「アカウントプラン 」と呼びます。
アカウントプランは、アプローチ戦略だけではなく、ターゲットアカウントの詳細情報も調査します。組織構成、取引の足掛かりとなり得る部署、担当者、キーマンの特定とパワーストラクチャー(決裁者との力関係)などが主な調査項目です。
アカウントプランについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:アカウントプランとは?作成・実行の重要ポイント / ABMとの関係を解説!
施策実行 / 効果測定
ABM最後のステップは、策定したアカウントプランに従って施策を実行し、効果測定と改善活動を繰り返していくこと。ターゲットアカウントのLTV最大化を目指すABMは、取引開始後も関連部署、子会社、関連会社へと水平展開 / 垂直展開していくことが大前提だからです。
ABMツールとは
ここまでの解説で、ABMに従来の法人営業との類似性を感じた方も多いかもしれません。実際、ABMという考え自体は目新しいものではありません。むしろ、ICTの進化により、手間と時間のかかるABMがより身近になったのだというべきでしょう。
たとえば、従来のターゲットアカウント選定は、会社四季報やリストを利用した手作業が中心でした。現代では、MAツールやABMツールを活用し、ターゲットアカウントを効率的に選定できます。
ABMツールとは、ABM実行に必須の顧客情報を管理し、効率的に顧客を選別するツールのこと。「uSonar(ユーソナー)」がABMツールの代表です。
画像出典:uSonar
ABMツールは、ターゲットアカウントの選別に必要な法人データベースを備えているだけでなく、MA / SFAツールと連携できることが特徴。MAツールで獲得したリード情報、SFA に入力した名刺情報などを取り込み、自動で同期 / 管理できます。
ABMを活用したBDRのエンタープライズアプローチ手法
改めて、用語の整理をしておきましょう。売上 / 利益を最大化するため、エンタープライズ企業をターゲットにする戦略が「ABM」、選定したアカウントにアプローチするための計画書が「アカウントプラン 」です。
ではBDRとは?アカウントプランで策定したアプローチ戦略を、具体的なアクションプラン、営業戦術に落とし込んだものが「BDR」です。
それでは、BDRの営業戦術、アプローチ手法とは具体的にどんなものなのか?簡単に紹介しておきましょう。
MAツールでリードナーチャリング
アカウントプランで特定したキーマンを対象に、MAツールを活用してリードナーチャリングを実施する手法です。具体的には、既存の取引先や新規開拓先のキーマンに宛てて有益な情報をメール配信することがメイン。
ただし、名刺交換している、Webサイトで公開されている以外のアドレスへ営業メールを送付するのは、特定電子メール法に抵触する可能性があります。これまでに接点のないアカウントに対しては、MAツールを活用したリードスコアリング(顧客の興味度合いを数値化)が中心となるでしょう。
手紙 / 電話を使ったキーマンへのアプローチ
ターゲットアカウントのキーマンへ手紙を送付し、電話を使ってフォローする手法です。実は、エンタープライズ企業へのアプローチ手法として、非常に有効なのが「高役職者へ手紙を送付」すること。さまざまなTipsがあるようですが、2週間程度の期間を開けて手紙を2回送付するのがいいとされています。
また、新規開拓先のキーマンへアプローチする手法としては、SNSを活用する、アプローチ先企業と接点のある企業に頼る「リファラル営業」を活用するなどもあります。アカウントプランで調査した組織構成、キーマンとパワーストラクチャーを利用し、あらゆる手法で商談創出を目指すのがBDRの基本です。
既存顧客へのクロスセル / アップセル
すでに取引のある部署を足掛かりに、関連部署、子会社、関連会社への追加納入、アップセル / クロスセルを進めていく手法です。メール / 手紙 / 電話 / SNSなど、あらゆる手法で商談を目指すという点では新規開拓と同じですが、人脈を活かせる分だけ商談獲得につながりやすいメリットを得られます。
BDRのフェーズごとに適したツール
手間と時間のかかるABM / BDRを効率化するには、フェーズごとに適したツールを活用することがポイント。実行時の参考になるよう、ABM / BDR / フィールドセールスを含め、契約までのフェーズでよく利用されるツールを簡単に紹介しておきます。
ターゲットアカウント選定 |
BDR |
ABM |
ABMツール / MAツール |
CRMツール |
ナーチャリング / アポイント獲得 |
MAツール / ビデオ会議ツール |
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商談 |
フィールド セールス |
SFAツール |
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契約 |
BDR / ABMは企業によって向き不向きがある
特定エンタープライズ企業のLTV最大化を目指すBDR / ABMは、重要な戦略 / 戦術ではありますが、すべての企業に有効だとは限りません。LTV最大化のため、中長期的な観点で水平 / 垂直展開を推進するBDR / ABMは、アップセル / クロスセルを提案できる商材ラインナップが必要です。
たとえば、ハードウェア / ソフトウェアを組み合わせたシステム販売、オプションで拡張していける業務システムなどは、BDR / ABMでの展開が容易。大量のユーザー数を確保でき、水平展開が容易なSaaS型サブスクリプションサービスなども、BDR / ABMで展開しやすい商材です。
【まとめ】BDRとはなにかを紹介しました
近年耳にすることの多くなったBDRとは?自社営業部門を強化するために知っておきたい。そんな営業マネージャーの方に向け、役割の異なるSDRとの違いから、ABM戦略との関係、具体的なアプローチ手法まで、BDRの全体像をわかりやすく解説してきました。
ABMの戦術であるBDRは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスとの連携がポイントです。つまり、部門 / チームとしてのBDRだけに注目しても期待する効果は得られません。体制変更を含め、営業プロセス・方法を変えていく意識が重要です。
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